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2020.09.09

「休日の部活動を学校から地域に移管する文科省改革案」について、中尾教授に聞く

中学や高校の「部活動」について、文部科学省は教員の長時間労働を是正するため、休日の活動を学校管理下から外して地域に移管し、教員の休日の指導は希望者のみなどとする改革案(令和2年9月1日)を「学校における働き方改革推進本部」でまとめました。今、部活動の在り方の抜本的な見直しが進行しています。中尾豊喜・体育学部教授(学校教育学)に聞きました。

Q 休日の部活動の地域移管について

学校の実態に鑑みれば、教員の働き方改革の視点からは賛成です。しかし、この問題の主人公は、教員でもありますが、これからの次の社会を創っていくこととなる生徒たち個々です。後者は、教育改革において重要な視点だと考えています。つまり、部活動は「ただやればよい」ではなく、「だれと、どこでやるか」「何を目指すか」「どんなフィードバックがあるか」など、その場や人と人の関係という環境が、学校であろうと地域であろうと重要な要因となってきます。これまで学校「部活動」は、生徒や教員が人間相互の関係において刺激し合う環境にあり、一つの側面として人間関係づくりや校内の規範など学校文化を構築してきました。

そのため、部活動でこの環境を確保し、「学校教育の一環」として機能させるなら、現状、手っ取り早い方法は「教員定数の拡充」でしょう。現在の学校は、部活動の難題のみならず、他国に遅れをみせたICTを活用した授業実践、特別支援教育のきめ細かな実現、多様な価値観や生活習慣・言語をもつ外国籍生徒、保護者への対応など個別複雑化した業務の範囲が多岐にわたり、切実な悩みとなっています。

私は公立中学の現場にいた三十数年前、勤務時間を守るために午後5時までは教員(学校教育)、それ以後はスポーツ少年団指導員(社会教育)の立場で部活動を指導した経験があります。ところが、公の施設利用、参加の平等性の確保の観点から地域や保護者の理解を得ることは難しい状況でした。教員の姿勢や指導者確保の有無により部活動に差が付くとなれば、今回の改革案も同じ批判を受けるでしょう。

<以下はプレスリリースをご参照ください>

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