大体大先生リレーコラム「本物を学ぼう」RELAY COLUMN

教育学部

2026.08.18

生きるヒントを学ぼう!

筆者:石塚 真子(教育学部教授)

1.なぜ学校で音楽を学ぶの⁉︎

 皆さんは、音楽が好きですか? 音楽のは好きですか?
 私の担当している小学校教育コースの音楽授業では、初回の授業時に、学生の皆さんに音楽に対する考えを伺っています。多くの学生さんが日常生活で音楽を聴くことを好む一方で、学校の音楽授業については、小学校から中学校へと進むにつれて音楽の授業を好む割合が低下する傾向が見られます。確かに、カラオケで学校の音楽授業で習った曲を歌うことはどれほどあるでしょうか?また、鍵盤ハーモニカやリコーダーを持ち歩いて演奏する人も、決して多くはないでしょう。学校の音楽授業で学ぶ内容と、日常生活の中で親しみ、楽しんでいる音楽との間には、少なからぬ隔たりがあるのかもしれません。
 では、なぜ教科としての音楽が必要なのでしょうか?


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2. “音楽のふるさと”から学んだこと

 私には、二つの音楽のふるさとがあります。一つは、大学時代に専攻していた声楽であり、もう一つは、大学院時代に出会った民俗芸能の音楽です。
 声楽を学ぶなかで、ドイツリート(歌曲)の奥深さを知り、音楽の都ウィーンを旅したことは、音楽を学ぶことの意味や音楽教育のあり方について考える大きなきっかけとなりました。ウィーンの街を歩くと、モーツァルトに扮した人が演奏会のチラシを配る姿や、ヴァイオリンやフルートの音色が響くストリートパフォーマンスに出会いました。当時、日本でクラシック音楽を学ぶ日々の中で、練習を重ねるほどに自分(人間)から遠ざかり、より研ぎ澄まされたものを求めていた私にとって、それは大きなカルチャーショックでした。ウィーンの街では、その土地で生まれた音楽が人々の暮らしや文化の中に深く根付いていることを実感しました。この経験は、音楽を単なる音の世界として捉えるのではなく、人間の営みの中で創造され、継承される文化として理解することの重要性を認識する契機となりました。
 その後、文化として音楽を捉える視点から音楽教育について考えるなかで、民俗芸能の太鼓に出会いました。それ以来、30年近くにわたりフィールドワークを続けるなかで、祭りでは、人々が自分の役割を担い、他者との関わり方を学びながら成長していくことを知りました。



3.音楽に内在する時間感覚や合わせ方

 この二つの音楽のふるさととの出会いを通して、音楽の根底には、人びとの営みや人と人のつながりがあることを確信しました。また、音楽を文化として捉えることで、それぞれの音楽には固有の時間感覚や音の合わせ方が内在していることを実感しました。学校の音楽の授業でも子どもたちに、多様な音楽それぞれが持つ固有の時間感覚や音の合わせ方に出会ってほしいと願っています。そして、その体験を通して、自分らしい生き方や人との関わり方を考えるヒントを見つけてほしいと思います。
 本学の音楽の授業では、「活動して考える」「考えて活動する」という学びを繰り返しながら、音楽の本質に触れ、子どもの学びを支える音楽授業づくりについて学んでいきます。
 音楽を通して、自分時間を生きるヒントを見つけてみませんか⁉︎ 

キーワード
  • 音楽教育
  • 民俗芸能
  • 学習材
  • 学習方法

石塚真子(教育学部教授)

専門は音楽教育学。子どもの未来、民俗芸能の未来を見据えた音楽教育実践に関する研究にとり組んでいる。担当科目は、「音楽科概論」「教科教育法(音楽)」「器楽演習」「音楽実技」など。

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