筆者:片山繁一(教育学部教授)
1.自分の力が発揮できる場所
みなさんは、授業中に先生から当てられたとき、どんな気持ちになりますか?「答えがまちがっていたらどうしよう」「みんなに笑われるかもしれない」。そんな不安がよぎり自信をなくしてそっと手をおろしてしまった経験はありませんか。
私はこれまで、小学校の教員として18年、そして教育委員会で19年、学校教育に携わってきました。その経験の中で、自信を持って言えることがあります。それは、「人は安心できる場所にいて初めて、自分の力を発揮できる」ということです。
ここでは、そんな「安心できる教室」をどのようにつくるか、「学級経営」の視点からお話しします。
2.教員と子ども・子どもと子どもとをつなぐ「糸」
私が小学校の教員だった頃、大切にしていた詩があります。蒔田晋治さんの『教室はまちがうところだ』という作品です。この詩には、教室という場所がどうあるべきかが描かれています。まちがいを恐れてちぢこまるのではなく、出されたまちがいを大切に扱い、そこからみんなで正解を見つけ出していく。そんな「まちがえても大丈夫な場所」が教室なのだと、この詩は教えてくれています。
しかし、先生が「まちがえることは気にしなくていいよ」と言うだけでは、子どもたちが本当に安心できる教室になるわけではありません。そこで必要になるのが、教員の持つ「学級経営」の力です。
学級経営とは、教員と子どもの信頼関係である「縦糸」と子ども同士の人間関係である「横糸」、この2つを丁寧につむぐことで、よりよい学級集団をつくっていく営みです。
「縦糸」は、例えば、先生が一人ひとりの話をじっくり聴いたり、その子どもの立場に立って声をかけたりすることで生まれていきます。また「横糸」は係活動や行事に、仲間と協力して取り組むことでより強くなっていきます。そして、この2つの糸がしっかりと織りなされた時、教室は単なる部屋ではなく「安心できる教室」となっていくのです。
私が教育委員会にいた頃、たくさんの授業を見てきました。それらの中には、子どもたちが仲間と積極的に意見をかわしたり、自分の考えに自信を持って発言したりするなどの授業がありました。
この学級の子どもたちは、担任の先生が大好きなんだな… 子どもたちはこの学級をすごく居心地のよい場所だと感じているんだな… などと強く思いました。あらためて「よい授業」とは「学級経営」という土台があって初めて成立するのだと実感させられました。
学級というものは、年度初めの4月、子どもたちの意思とは関係なく集められた集団です。(前の学級の方がよかったかも…)(友達ができるかな…)(新しい学級でがんばるぞ…)そんな不安と期待が入り混じった4月の教室。学級はそこからスタートするのです。そして、その集団を1年間通して教員のていねいなアプローチにより、よりよい学級集団に高めていくのです。
3.あなたが「安心できる教室」をつくる
みなさんはこれまで、小学校、中学校、高校で学んできたことと思います。それぞれの時代の教室の風景を思い出してください。学級のみんなが仲よく、居心地のよかった学級はありませんでしたか?
そのような「安心できる教室」は、自然とそのようになっていったのではありません。担任の先生がみなさんと信頼関係を築きながら、様々な働きかけを行っていたからなのです。
教員をめざすみなさん、次はみなさんが子どもたちにとって「安心できる教室」をつくっていく番になります。そのような学級経営の力を本学でぜひ身につけてみませんか。






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