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学内トピックス

2026.07.14

「AI時代は、AIが苦手な非認知能力を高めるスポーツの価値がより高まる」 SPORTECでAIエバンジェリスト・鈴木祥太さんと大阪体育大学・藤本淳也教授がクロストーク 「AI時代、スポーツ系大学の役割を問う」

 東京ビッグサイトで開催中の日本最大のスポーツ・健康産業専門展「SPORTEC2026」で最終日の7月10日、「AI時代におけるスポーツ系大学の役割を問う― 成果は“社会の中”で生まれる ―」と題した大阪体育大学のセミナーが開催されました。

大阪体育大学セミナー「AI時代におけるスポーツ系大学の役割とは何か」
【大阪体育大学】

大阪体育大学セミナー「AI時代におけるスポーツ系大学の役割とは何か」



大阪体育大学はスポーツSDGsを推進しています

 Gen-AX(ジェナックス)株式会社(ソフトバンク株式会社100%子会社)でAIエバンジェリスト(普及推進者)を務める鈴木祥太(しょうた)さんと、藤本淳也・大阪体育大学DX・AX推進プロジェクトリーダー(スポーツ科学部教授)が、AI時代にスポーツ系大学は何を教えるべきかなどについて議論。「AI時代は、AIが苦手な非認知能力を高めるスポーツの価値がより高まる」などの意見が交わされました。

エバンジェリスト=AI社会実装の伝道師


 鈴木さんは、名古屋工業大学大学院修了後、2021年、ソフトバンクに入社。AI/DX人材の育成・定着化支援サービス「Axross Recipe」の新規事業立ち上げに従事し、導入企業を200社以上に拡大しました。ソフトバンクアカデミアで次世代リーダーとしての研鑽を積む一方、トレンド技術の業務活用をテーマにエバンジェリストとして活躍。2024年10月、さらなるAIの社会実装とビジネス革新を目指しGen-AXに参画し、営業統括部でエバンジェリストを務めています。
 エバンジェリスト(Evangelist)とは、元々キリスト教で福音を伝える伝道師を指す宗教用語。人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のタイトルも同じ語源に由来します。IT分野では、製品や技術の魅力を広め、新しい考え方を世の中に伝える人を意味します。

Gen-AX株式会社AIエバンジェリスト・鈴木祥太さん
【大阪体育大学】

Gen-AX株式会社AIエバンジェリスト・鈴木祥太さん

大阪体育大学DX・AX推進プロジェクト


 一方、大阪体育大学は2025年、「DX・AX推進プロジェクト」を始動しました。ソフトバンクとスポーツ指導に関するICT活用の連携協定を結び、学生が同社のスポーツ練習アプリ「AIスマートコーチ」を使って徳島県など遠隔地でのオンライン部活動指導にあたるほか、富士通株式会社と産学連携協定を結び、体操競技専用体育館にトレーニング施設としては世界初となる、AIを活用した自動体操採点システムを導入。DX・AIを活用した社会貢献、競技力向上、研究活動を推進しています。
 今年4月には「生成AIの利用に関する基本方針」を策定。「生成AIは人間の知的活動及び業務を支援する有効な手段であるが、その利用にあたっては、常に人間が主体であり続けなければならない」と明記し、「主体的な思考、判断及び実践の尊重」などAI活用に際しての「人の重視」を強調しました。

藤本淳也・大阪体育大学DX・AX検討推進プロジェクトリーダー(スポーツ科学部教授)
【大阪体育大学】

藤本淳也・大阪体育大学DX・AX推進プロジェクトリーダー(スポーツ科学部教授)

藤本教授「学生にAIでのレポート試験の作成を推奨」


 セミナーは、まず藤本教授が大阪体育大学が進める産学連携事業や学生のコミュニケーション能力の高さなどを説明。AIを積極的に活用し、藤本教授のスポーツマーケティングの授業ではAIを使用したレポート試験の作成を学生に推奨していることなどを紹介しました。

AI時代は「問いを立てる力」「確かめる力」「共に成し遂げる力」が求められる


 続いて鈴木さんが講演しました。鈴木さんは「AIの現在地」として、開催中のサッカーW杯は〝史上初のAIワールドカップ〟であり、AIが全選手の3Dアバターを生成してオフサイド判定にAIが全面参加したと説明。そのうえで、がプレーに関与したか否かの判断は人間の審判に残り、AIに任せるのは計測や検知によるボールの位置などの「事実」であり、人が担うのはプレーに関与したかどうかという「意味」の解釈や判断だと語りました。
 また「AIの進化と現在地」として、AIはタスクを自律的に実行する「AIエージェント」へと進化し、2018年の生成AI誕生、2025年のAIエージェント元年、2026年のAIエージェント実装元年、フィジカルAI誕生に続き、2030年以降には人間のように幅広い分野で学び考え応用できるAGI(汎用型AI知能)、さらにその先には人類の英知を超えるとされる仮説上のAI、ASI(人工超知能)が誕生するかもしれないとしました。
 また、AIエージェントの普及の一例として、Gen-AX社の自律型AIオペレーターと顧客の会話音声を再生しました。
 「AI時代のタスク配分」として、「AIは人の仕事を奪うよりも、仕事の中のタスク分配を変える」として、仕事の各要素のうち「たたき台」「整える」「調べる」は生成AIの得意な領域であるため前工程としてAIで圧縮し、「作る」は生成AIと人のハイブリッド、「伝える」「判断」は後工程として、人が担い、強化するべきだと語りました。
 さらに、「AI時代に求められる人材像」として、「問いを立てる力」、AIの答えをうのみにせず現場や身体で検証する「確かめる力」、多様な人を巻き込み合意をつくり、やり切る「共に成し遂げる力」など教科書と教室では身に付かない力が重要だと指摘。AI時代に価値が上がるのは、「チームワーク」、身体で理解し表現する「身体性」、緊張や不安を力に変える「感情」、意見が割れても前に進める「合意形成」、結果を引き受ける「責任」であるとし、これらはスポーツの現場では当たり前に養われていますが、AIは最も苦手とする「非認知能力」であり、「AI時代に価値が上がるのは、〝スポーツ的能力〟かもしれない」と説明しました。
 続いて藤本教授と鈴木さんのクロストークに移り、「AIは与えられた情報の範囲内でしか考えられないためAIだけで完結することは難しく、そこを補うのが非認知能力だ」「自分の問いを言語化し、思考力をつけていくことが、より有効にAIを使うことにつながる」などの意見が交わされました。

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