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2026.07.06

「大学スポーツ・サステナビリティ・インパクトレポート2024」を制作 大学スポーツの社会的価値を可視化 

 大阪体育大学は、大学スポーツが生み出す社会的価値を可視化した「大学スポーツ・サステナビリティ・インパクトレポート2024」を制作しました。競技成績だけでなく、学生の成長や地域社会への貢献、well-being(心身とも健康で幸せな状態)の実現など、大学スポーツが社会にもたらす価値を体系的に示した全国でも先進的な取り組みです。
 現在は暫定版で、近く完成版を公開しまする。
 なぜ今、大学スポーツのインパクトレポートが必要なのでしょうか。レポートの制作を担当した大阪体育大学スポーツ科学部の藤本淳也教授(スポーツマーケティング)に、その狙いと大学スポーツの新たな可能性について聞きました。

地域の方と楽しむイベントOUHSスポーツキャンプ(2025年3月)で子どもにバッティングを教える硬式野球部女子部員。各クラブが独自に社会貢献活動に取り組んでいる
【大阪体育大学】

地域の方と楽しむイベントOUHSスポーツキャンプ(2025年3月)で子どもにバッティングを教える硬式野球部女子部員。各クラブが独自に社会貢献活動に取り組んでいる



大阪体育大学はスポーツSDGsを推進しています

藤本淳也教授に聞く

大学スポーツの社会的価値を可視化したい


――なぜ今、大学スポーツのインパクトレポートが必要だと考えたのか
 プロサッカーJリーグやプロバスケットボールBリーグ、そしてそのクラブでは、地域社会での活動や社会課題の解決への貢献を可視化し、その社会的インパクト(社会に与えた変化や成果)を公表する事例が出てきています。プロスポーツでは、競技成績だけでなく、地域や社会にどのような価値を生み出しているのかを示そうとする動きが広がっています。

 一方で、大学スポーツには、まだそうしたレポートの事例がほとんどありません。しかし実際には、大学の多くの学生と所属スポーツクラブ、関連組織が地域社会で活動し、地域課題に向き合っています。大阪体育大学も同様です。にもかかわらず、その価値はこれまで十分に可視化されてきませんでした。

 大学スポーツ振興に取り組む大学は、その社会的価値の可視化に、もっと挑戦していく必要があると思います。大学スポーツは、実際には社会に向き合い、社会的価値を生み出しているのに、それが競技成績や個別活動の紹介の陰に隠れてしまっている。だからこそ、その価値を社会に伝わる形で示す必要がある。体育・スポーツ系の総合大学である本学にとって、それは一つの使命だと考えました。

大学スポーツは価値創造のエコシステム

――大阪体育大学は、大学スポーツをどのようなものとして捉えているのか
 本学は、大学スポーツを単なる競技活動の集まりとしては捉えていません。学生とその活動を価値創造の中心に置き、その学びと実践を大学が支え、地域や社会へ接続していく仕組みとして捉えています。言い換えれば、大学スポーツを「社会的価値創造のエコシステム(関係する人・モノ・サービスがつながり、お互いに価値を高め合う仕組み)」として見ているということです。

 本学では、大学スポーツを支える基盤的な機能、学生が実践を通して成長する現場、そしてその学びや実践を地域や社会へ広げていく機能が連動しています。重要なのは、個々の活動はもちろんですが、そうした活動がどう循環し、学生の成長や地域との関係づくり、社会への価値創造へつながっているかです。そこに、大阪体育大学の大学スポーツの独自性があると考えています。

OUHSスポーツキャンプで子どもにサッカーを教えるサッカー部男子部員
【大阪体育大学】

OUHSスポーツキャンプで子どもにサッカーを教えるサッカー部男子部員

価値を定義し3つのインパクトに整理


――このレポートでは、大学スポーツの価値をどのように捉えたのか
 このレポートで一番大事にしたのは、「大学スポーツの価値とは何か」を、最初にきちんと定義することでした。そこで、インパクトを三つに整理しました。第一に「学生の成長」、第二に「地域社会の課題解決と価値創造」、第三に「well-beingへの貢献」です。

 大学スポーツの社会的価値の可視化では、活動件数や参加人数、実施日数などは大事なデータです。ただ、それ自体がインパクトなのではなく、インパクトの背後にある価値や変化を読み解くための根拠だと考えています。学生がどんな力を育んだのか、地域とどんな関係をつくったのか、そして健康、学び、交流、地域とのつながりといったよりよい状態にどうつながったのか。その三つで捉え直したことが、このレポートの核です。

SDGsとの接続を可視化


――SDGsとの関係は、どのように位置づけたのか
 ここも、今回かなり意識した点です。SDGsを、そのままインパクトそのものとして扱うのではなく、本学の大学スポーツがどの社会課題に強く接続しているかを示す補助的な評価軸として位置づけました。

 つまり、本体にあるのはあくまで「学生の成長」「地域社会の課題解決と価値創造」「well-beingへの貢献」の三つです。そのうえで、個々の事業や活動が、どの社会課題領域と強く結びついているのかを見ていった。その結果、大阪体育大学の大学スポーツは、健康、教育、地域づくり、不平等の是正、パートナーシップといった領域との接続が強いことが見えてきました。これは、大学スポーツが単なる競技活動ではなく、社会課題への応答としても意味を持っていることを示していると思います。

OUHSスポーツキャンプで子どもと楽しむバスケットボール部女子部員
【大阪体育大学】

OUHSスポーツキャンプで子どもと楽しむバスケットボール部女子部員

大学スポーツの価値は教育、地域の課題解決、well-being貢献


――今回のレポートで、最終的に何が明らかになったと考えているか
 一言でいえば、大阪体育大学の大学スポーツは、学生の成長を生み出す教育の場であり、地域社会の課題解決と価値創造につながる社会実践の場であり、さらに学生・地域・社会のwell-beingに貢献する実践基盤でもある、ということです。

 これは、感覚的にそう思っていたことを言葉にした、というだけではありません。大学スポーツを支える中核的な機能を整理し、そこに蓄積されてきた実践を見ていくことで、本学の大学スポーツがどういう価値を持ち、どこに社会的な意味があるのかを、初めて体系的に示せたと思っています。この点に、本レポートの最も大きな意義があると考えています。

レポートは対話の出発点、パートナー制度を検討


――今後、このレポートをどう発展させていきたいか
 今回のレポートは、あくまで「2024年度版」の第1回です。まずは大学スポーツを支える中核的な機能から可視化しましたが、本学の大学スポーツの価値は、それだけでは尽きません。今後は、教育機能や研究機能、学内の他の実践も含めて、より立体的に示していくことを検討しながら、今年中に「2025年度版」を、来年の7月には「2026年度版」を出したいと思います。

 同時に、このレポートは公表して終わりではなく、社会との対話の出発点にしたい。今後は、多様な外部主体と価値や方向性を共有し、ともに社会課題の解決やwell-beingの実現を目指す関係を育てていく必要があります。そのために現在、本学では「大学スポーツサステナビリティ・パートナー制度」を検討しています。大学スポーツ振興やクラブ活動を支える関係、教育や地域連携、人材育成をともに実践する関係、理念に共鳴し価値発信をともに行う関係などを育てながら、レポートで可視化した価値を一過性で終わらせず、持続的な価値創造へつなげていきたいと考えています。

【インパクト・レポート(暫定版)】

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