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学内トピックス

2026.05.26

「シン・運動部活動指導認定プログラム」が始動 安全でハラスメントのないスポーツ環境の実現へ

 スポーツ界における安全管理とコンプライアンスへの意識が高まる中、大阪体育大学は新たな指導者育成の枠組みをスタートさせました。

 5月23日、熊取キャンパスでオンライン講座「運動部活動指導認定プログラム」の実地講習が行われ、学生、社会人ら約30名が参加しました。このプログラムは、競技の技術指導にとどまらず、社会問題となっているハラスメントの防止や熱中症など安全対策を重視している点が特徴です。大学がその指導力を修了証の交付で担保する先進的な試みとして、文部科学省やスポーツ庁をはじめ、各自治体からも地域スポーツの担い手不足を解消するモデルケースとして高い関心を集めています。

学生、社会人ら約30人が参加した大阪体育大学のオンライン講座「運動部活動指導認定プログラム」
【大阪体育大学】

学生、社会人ら約30人が参加した大阪体育大学のオンライン講座「運動部活動指導認定プログラム」

 指導認定プログラムは1時間×4回のオンデマンド講義を受講した後、6時間の実地講習に参加し、課題や口頭試問を経て修了証が発行されます。

 指導認定プログラムは2023年に開講し、春秋の2期、主に社会人を対象に部活動やスポーツ指導にあたる人材を養成してきました。
 一方、大阪体育大学では、2021年に学生を対象にしたグッドコーチ養成セミナーを創設しました。これは、全国初の学生の運動部活動指導者養成プログラムで、授業外の自由参加セミナーとして実施され、これまでに教員志望など多くの学生に修了証が交付されました。

 現在、国の方針で全国の自治体が中学校部活動の地域展開を進めています。多くの自治体は部活動や地域スポーツ指導者の人材不足に悩んでいますが、両講座は人材不足の解消に貢献するもので、全国でも先駆的な取り組みとして文部科学省、スポーツ庁が視察に訪れるなど大きな注目を浴びています。

受講した大学生が中学生にミニゲームの指導をし、課題と反省を話し合った
【大阪体育大学】

受講した大学生が中学生にミニゲームの指導をし、課題と反省を話し合った

社会人対象「指導認定プログラム」と大体大生対象の「グッドコーチ養成セミナー」を一本化


 自治体が人材を確保する際にもっとも重視する点は、指導者としての質の保証です。各地の部活動でハラスメントに関わる不祥事は後を絶ちません。熱中症対策や事故対応の知識は安全な指導に不可欠です。競技力だけでなくこれらの資質を備えることは、部活動指導では極めて重要になります。大学がそれらの知見を受講者に提供し、指導者としての質を修了証で担保する大阪体育大学の両講座のニーズは高いといえます。
 このため、受講内容を安全管理やハラスメント対策などに絞り、オンライン中心で受講しやすい内容とし、社会人も大学生もともに学べる新たなプログラムが今年度、創設されました。

土屋裕睦教授の講義では、スポーツ・ハラスメント(スポハラ)とは無縁な優れたグッドコーチの条件を話し合った
【大阪体育大学】

土屋裕睦教授の講義では、スポーツ・ハラスメント(スポハラ)とは無縁な優れたグッドコーチの条件を話し合った

熊取町とも連携 町立中学校部活動指導員の研修に活用


 また、地元の大阪府熊取町とも連携しました。同町は町立中学校に部活動指導員の配置を進めており、資質向上プログラムとして今年度から大体大の指導認定プログラムを活用することとし、今回は7人が参加しました。

 また、実地講習は8月7日にも予定されています。学生の参加が多く、大学院生を含め2回の実地講習に約50人が参加します。

中尾豊喜教授は「部活動指導員は競技力だけではなく、生徒主体の指導観・教育観が求められる」などと講義した
【大阪体育大学】

中尾豊喜教授は「部活動指導員は競技力だけではなく、生徒主体の指導観・教育観が求められる」などと講義した

 この日の実地講習では、文部科学省「スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議」(タスクフォース)委員、NO!スポハラ実行委員などを歴任しているスポーツ科学部・土屋裕睦(ひろのぶ)教授(スポーツ心理学)、大阪府教育庁などと連携し、出前授業、体力・運動能力向上事業、教員研修に取り組む小林博隆准教授(体育科教育学)、元Jリーグ京都サンガ普及育成部長の池上正客員教授が「運動部活動の実践」Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを、「大阪府における部活動の地域移行に関する検討会議」座長の中尾豊喜教授(学校教育学)が「部活動改革が求める指導者の資質・能力の新たな視点」を担当しました。

小林博隆准教授の指導で、参加者は、小林研究室がユーチューブで公開しているミニゲームを体験した
【大阪体育大学】

小林博隆准教授の指導で、参加者は、小林研究室がユーチューブで公開しているミニゲームを体験した

 午前は座学で、土屋教授の授業ではスポーツ・ハラスメント(スポハラ)とは無縁な優れたグッドコーチの条件を話し合い、ティーチングとコーチングの違い、スポハラの実例などについて考えました。続いて中尾教授は学習指導要領での部活動の意義と位置付け、学校部活動が担ってきた教育的意義を踏まえたうえで、「部活動指導員は競技力だけではなく、生徒主体の指導観・教育観が求められ、責任感、連帯感の涵養など学校教育が目指す資質・能力の育成に資することが必要」などと説明しました。

参加者は中学生にミニゲームを指導し、池上正客員教授と反省点などを話し合った
【大阪体育大学】

参加者は中学生にミニゲームを指導し、池上正客員教授と反省点などを話し合った

 午後は第6体育館多目的アリーナでの実技。小林准教授の指導で、参加者は4チームに分かれて生徒役となり、小林研究室がユーチューブで公開しているミニゲーム動画約140本のうち数ゲームを体験。小林准教授がそれぞれのゲームから学べる部活動指導のヒントを伝えました。
<小林研究室ユーチューブ>
 最後は、大阪体育大学浪商中学校陸上部、ハンドボール部の部員を迎え、参加者はグループごとにバレーボール、サッカー、バスケットボールなどのミニゲームを実施し、中学生を指導。池上客員教授と指導を振り返り、反省点を話し合いました。

ミニゲームの指導の後、振り返りをする学生
【大阪体育大学】

ミニゲームの指導の後、振り返りをする学生

 受講者は終了後、最終レポートを提出。4つの実地講習について学んだことを詳述したほか、「生徒の安全・安心のために必要な知識・技能」「部活動指導に関わるために必要な専門知識・技能」「生徒の主体性を尊重したコミュニケーション」「保護者、教職員との協調関係の構築」「スポハラを予防するための思考・判断」「コーチとして成長するための計画」の各項目について理解度を自己評価しました。

最後に閉講のあいさつをする運動部活動指導認定プログラム責任者の植木章三副学長
【大阪体育大学】

最後に閉講のあいさつをする運動部活動指導認定プログラム責任者の植木章三副学長

 熊取町内の中学で卓球部を指導する会社員の男性(57)は「プログラムの内容は深く、『部活動指導とは』を考えることはとても重要だったと思います」と感想を話しました。男性はクラブチームで卓球を指導した経験があり、2年前、子どもの母校でもある中学の卓球部顧問が異動になり学校が後任を探していたこともあって「卓球で恩返しできたら」と指導を始めたといいます。「昨今大きな問題になっているハラスメントについて、ただ単に許されないというだけではなく、なぜ、どういう風にだめなのか詳細をしっかり聞けたので、これから自信をもって指導の場で説明できます」とプログラムを振り返りました。

 指導認定プログラムに参加した学生に話を聞きました。

水田百香(ももか)さん(スポーツ科学部1年、兵庫・明石北高校) 「子どもたちには指示より質問」が心に響いた

水田百香さん(スポーツ科学部1年、兵庫・明石北高校) 
【大阪体育大学】

水田百香さん(スポーツ科学部1年、兵庫・明石北高校) 

――プログラムを受講した感想は
 今日一番響いたことは土屋先生の講義です。「指示や提案よりも質問をすることが大切」だと聞き、確かに今までの体育の授業を振り返ると、指示や提案が多かったと思います。子どもたちに「どうしたい?」「今日何をしたい」と質問することを増やしたら、子どもたちの意見を取り入れて楽しい部活動や授業になるのかなと思いました。

――オンデマンドの講義で重要だと思ったのは
 暑さ対策です。小学から高校まで卓球をしていましたが、体育館での練習では、まだ注意が足りなかったと思いました。救急処置も今、授業で学んでいますが、とっさに判断できるようになりたい。

――なぜこのプログラムを受講したのか
 大学から受講を勧めるメールが届き、マネジャーを務めている男子バレーボール部の1年生で話題になり、大勢が参加しています。また、自分は元々コーチングに興味があり、卓球の経験を活かして部活動指導をしたいという気持ちも少しあるので、講義を指導に活かせると思いました。

――将来の進路は
 元々バレーボールを見るのが大好きで、大学ではバレー選手のジャンプなど体の動きの仕組みを調べたいと思っています。今は大学院に進んで研究をしたいと考えていますが、一方でアスレティックトレーナーの資格も取りたいし、教員免許も欲しいと思っています。

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