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2026.03.26

少年院法務教官から「よしもと」に転身 大阪体育大学OB・竹田和夫さん エグゼクティブプロデューサーとして沖縄のエンタメに貢献

 大阪体育大学OBの竹田和夫さんは、少年院などで教育や更生支援にあたる法務教官でした。54歳の時、吉本興業HDの大﨑洋社長(前会長)に誘われ、吉本興業グループ企業に転職。沖縄で吉本興業として初めて立ち上げた専門学校の初代校長を務め、現在は九州・沖縄エリアのエグゼクティブプロデューサーを務めています。若い大学生に「まだ君たちは完成品じゃない。10年後の自分の姿を思い描きながら進路を考えてほしい」とエールを送っています。

気の合う仲間と舞台に(左から 植野君 竹田君 元ミス沖縄さん 松下君)
【竹田さん提供】

気の合う仲間と舞台に(左から 植野君 竹田君 元ミス沖縄さん 松下君)

税務大学校に進むつもりが、大体大へ


 竹田さんは大阪府堺市出身。スポーツとの出会いは小学1年の時、近くの大阪刑務所の道場で開かれていた柔道教室でした。その後野球などを経験し、大阪府立泉北高校に入学すると、ソフトテニス部に所属しました。
 「当時はアニメの『エースをねらえ!』がはやった時期。硬式か軟式かも知らずに入部しました。最高成績は、団体で大阪府3位でした」
 高校卒業後は税務署で働くため税務大学校に進むつもりでしたが、父親の勧めで大学進学に転向。ソフトテニスを続けたいからと大体大に進みました。
 大学では、ソフトテニス部のレベルの高さに面食らったといいます。
 「自分の球の勢いには自信を持っていましたが、1年の時の主将はインターハイベスト8、副主将は3 位。どこに打ってもはね返され、ハードルの高さを感じました」

スマガツオ自己ベスト 1m 糸満沖にて
【本人提供】

スマガツオ自己ベスト 1m 糸満沖にて

非行少年の悩みを聞く。30年務め、首席専門官に


 就職では、最初から法務教官を目指したわけではありませんでした。新設のテニスコートの管理者になりたくて堺市の採用試験を受けましたが合格できず、大学のキャリア支援のスタッフから勧められて、大阪少年鑑別所を受験しました。当時は法務教官を目指す、現在の法務省専門職員(人間科学)採用試験などはなく、施設独自の採用だったといいます。
 法務教官は、起床・点検・作業・消灯などの生活指導、学科教育や職業教育の支援、体育や情操教育、再発防止に向けた指導計画などの個別支援にあたり、シフトを組んで24時間、入所者を指導・支援します。また、問題行動を是正するために戒護権を行使する場合もあります。
 「異例ですが、自分は1年目から特に非行の度合いが強い少年が入る寮を担当しました。不満を持つ少年の悩みを聞き、カウンセラー的な仕事も多かったですね」
 竹田さんは約30年間、和泉学園(大阪)、加古川学園(兵庫)、浪速少年院(大阪)、美保学園(鳥取)、岡山少年院など各地の少年院で勤務。処遇部門を統括する首席専門官も務めました。

大阪体育大学キャリアフェスタで後輩に講演
【大阪体育大学】

大阪体育大学キャリアフェスタで後輩に講演

少年院に中田カウスさんがやってきた


 吉本興業との出会いは浪速少年院にいたころ。院の少年たちが人の話を聞けずコミュニケーション能力に課題があったことから、院内で「吉本のお笑い芸人に講師を頼んでは」という声が上がりました。「ダメ元」で、泉北高校の先輩にあたる大﨑前会長に頼んだところ、「ええよ」と快諾。少年院に大﨑さんと中田カウスさんがやってきました。
 18~21歳の約160人の在院者は中田カウスさんの話にひきこまれ、誰一人微動だにしなかったといいます。
 これが縁で以後、何度か芸人を招くなど交流が生まれました。54歳だった2015年、体調面も考えて早期退職を決めた。新宿の東京本部に大﨑さんを訪ねると、さりげなくあっさり振られました。「沖縄に専門学校をつくりたいんや。竹田君だったら、どんな困難があっても怖ないよな」。少年院から吉本への転身が決まりました。

大阪体育大学キャリアフェスタで後輩に講演
【大阪体育大学】

沖縄でよしもとの専門学校初代校長に


 沖縄ラフ& ピース専門学校は2018年、那覇市に開校。竹田さんは初代校長に就任しました。吉本興業が文部科学省認可の専門学校を運営するのは初めてで、エンターテインメント業界で活躍するクリエーター、パフォーマー、CGグラフィックなどの専門家の育成を目指します。
 なぜ沖縄なのでしょうか。
 「まず、沖縄は日本で一番アジアに近く、アジア各国をつなぐハブ。芸能事も沖縄は三線などが根強く文化として定着している。芸能のハブとして地理的な位置を考えた時に沖縄があります」
 吉本興業グループ企業の九州・沖縄エリアエグゼクティブプロデューサーとして、2024年まで続いた沖縄国際映画祭の運営や、企業、ホテルとタイアップしたフェアの開催など幅広くプロモーション活動に携わっています。
 今年6月には65歳の定年を迎えます。第3の人生は、憧れだったという大型観光バスの運転手です。

大阪体育大学キャリアフェスタで後輩に講演
【大阪体育大学】

「君たちは今、完成品じゃない。もっともがいて」


 母校の後輩へのアドバイスは。
 「あなたは今、完成品じゃない。今を基準に考えず、5年後、10年後を見て、そこに立っている自分の姿を想像しながら成長してほしい。私も35年間、仕事はどんどん変化していった。今ある姿は完成形と思わず35歳ぐらいまで頑張ってほしいというか、もがいてほしいと思います」

竹田和夫(たけだ・かずお)
大阪府堺市出身。1985 年度、体育学部体育学科卒。法務教官として30 年間、全国各地の少年院で勤務。54 歳で退職し、吉本興業が運営する沖縄ラフ&ピース専門学校の初代校長に。現在は株式会社よしもとセールスプロモーション&エリアアクションでエリア営業本部九州・沖縄エリアエグゼクティブプロデューサーを務める。

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