昨年、あと一歩でつかみかけた坂の上の雲は、彼方に遠ざかりました。関西大学ラグビーリーグAB入替戦(12月13日、京都市・宝が池球技場)。Bリーグ2位の大阪体育大学はAリーグ7位の立命館大学に21‐57(前半7‐31)の大差で敗れた。昨年は、前半で15‐0と関西大学をリードし後半、ラストワンプレーで18‐19と逆転されました。入替戦は2021年から5連敗。なぜ、ヘラクレスたちはAリーグ勢に勝てないのでしょうか。

試合後の記者会見。CTB・羽田賢信(けんしん)主将(体育学部4年、京都工学院高校)は、「A、Bの差は何か」と問われ、「(ゴールまで残り)22mに入ってからの精度」と答えました。「相手に22mラインに入られると、ほぼスコアを許した。自分たちは攻め込んでもトライを取り切れず、ターンオーバーされた」
重ねて、「なぜ、その差が生まれるのか」と問われ、羽田は「ここぞの場面での集中力と取り切る意識。技術での差はあまりないと思うが、マインドの部分が大きい」と振り返りました。

試合後、長崎正巳監督と握手する羽田賢信主将
昨年の入替戦、ロスタイム。WTBで出場した羽田は脳しんとうのため交代し、ベンチから試合を見ていました。チームは焦りから中盤の位置で反則を重ねて、自陣に攻め込まれます。モールからゴール右隅にトライを許し、1点差。角度のない難しい位置から関大スタンドオフが劇的なゴールキックを決め、ノーサイド。羽田は「言葉にならなかった」と、ラストワンプレーの悲劇を振り返ります。
主将の堀田凌永から「『この負けがあって良かった』と、後から振り返ることができるようなチームにしてほしい」と後を託され、主将を務めました。

チームは、「Aリーグ7、8位のチームを倒すことを目標にしていては入替戦で勝てない。5位のチームと勝負できるチーム作りが必要」として、「レベル5」をテーマに掲げました。練習だけでなく生活態度、学修面も含めて一から見直す「大改革」は前年から継続しました。体作りのため、練習終了後、全員そろって学生食堂でてんこ盛りの夕食を取ることも始めました。
また、新たにメンタルトレーニングを導入しました。5月の春季トーナメントでAリーグの摂南大学に、昨年の入替戦のような逆転負けを喫し、焦りを生じる心の部分に課題があると考えたからです。
日本スポーツ心理学会会長で長年、日本代表選手やプロ野球チームの心理サポートにあたる土屋裕睦スポーツ科学部教授に協力を仰ぎ、大学院での教え子の近藤みどり・国立スポーツ科学センター研究員や土屋教授らの指導で、個人の力を結集して成果を出せる集団をつくるチームビルディングに夏以降、5回にわたって取り組みました。

それでも、Aとの差は縮まることなく、拡大しました。
記者会見。長崎正巳監督は「Bリーグの中で切磋琢磨し、成長することは難しい」と話しました。
実力が拮抗するAリーグは、ある意味、すべての試合が「死闘」です。春季トーナメント優勝の立命館大学が7位に沈み、2年前は名門・同志社大学ですら入替戦に回りました。2連覇した天理大学の得失点差は292点。2位の京都産業大学は139点。一方、B1リーグの大体大は318点。Bリーグは実力にばらつきがあるのが現状です。羽田が会見で話した「ここぞの場面での集中力と取り切る意識」は、勝つか負けるかぎりぎりの修羅場を重ねなければ、体得できません。
「五度目の正直」も果たせませんでした。
「後輩に託すことは」と聞かれ、羽田は「今までいろいろやってきた中で負けているので、新しい風を取り入れてほしい」と語りました。「新しい風」とは。その意味を模索する、辛い1年が始まります。
<ラストワンプレーの悲劇 2024入替戦>





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