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2025.07.10

座位バレーボール女子日本代表がアジアオセアニア選手権銅メダル 教育学部・大崎さん「世界選手権で欧州、米国に挑む」

 パラスポーツの座位バレーボール・アジアオセアニア選手権大会が6月に中国・杭州で開催され、女子日本代表が銅メダルを獲得しました。日本パラバレーボール協会によると、正式な通知は届いていませんが、来年7月の世界選手権(中国)の出場権獲得はほぼ決定したといいます。初の日本代表として出場した大阪体育大学の大崎日和理(ひより)さん(教育学部1年、大阪体育大学浪商)は「世界選手権では、強豪のヨーロッパ勢やアメリカに自分の力がどこまで通用するのか試したい」と話しています。

大崎日和理(ひより)さん(教育学部1年、大阪体育大学浪商)



大阪体育大学はスポーツSDGsを推進しています

◆強豪中国を追い上げ自信に


 座位バレーは、座ったままプレーするバレーで、主に下肢に障がいのある人々のためのパラスポーツとして普及しています。健常者も一緒にプレーが可能で、インクルーシブなスポーツです。コートは立位のバレーよりやや狭く、ネットは女子で約1.05mと立位の半分以下です。
 アジアオセアニア選手権で、日本は予選でモンゴルに3-0、イランに0-3、オーストラリアに3-0の2勝1敗で準決勝に進出。中国に0-3で敗れて3位決定戦に回りました。
 大崎さんは、中国戦の3セット目でメダルの手応えを感じたといいます。1、2セット目は相手のサーブが速くて怖さを感じ、8-25、10―25と一方的でした。しかし、3セット目から幾分、相手のサーブが遅く見えたといいます。日本はレシーブでは立位のバレーと違って、前で取るオーバーキャッチを重視し、オーバーキャッチ率8割を目標に掲げていましたが、3セット目は日本の各選手が果敢にオーバーで受けるようになりました。相手サーブに対して各選手が慣れて自信が生まれたようだったといいます。中国を激しく追い上げ、セットを落としはしましたが、23―25。大崎さんは「中国にたくさんタイムを取らせて、自分たちの成長を感じた。『メダル、行けるよ』と仲間で声をかけ合った」と振り返ります。翌日の3位決定戦はタイを3-0で降しました。

銅メダルを獲得した女子日本代表(23番が大崎選手) 【日本パラバレーボール協会提供】

◆動かなくなる右足、「朝が怖かった」


 大崎さんは中学1年からバレーを始めました。高校1年の3月、バレーの練習中に体育館の階段から落ちて意識を失い、気が付くとベッドで寝ていました。最終的に右半身は手も足も感覚が鈍く、痛みや熱さが分からない状態になり、右半身不完全まひと診断されました。
 入院は高校2年の7月まで続きました。はじめのころは毎日、朝が怖かったといいます。「初めは足が動いていたのに、どんどん動かなくなっていった。今寝たら、明日どこが動かなくなっているんだろうとか、明日動かなくなるのは左手かなとか、怖さがずっとあって、スポーツのことなんかまったく考えられなかった」
 やがて、ベッドの上で、バレー部のみんなが練習しているのをLINEで見ました。やっぱりバレーをしたいと思ったといいます。リハビリの内容を、ボールを相手に返すなど「バレーチックなもの」に変えてもらいました。

【日本パラバレーボール協会提供】

◆「もう一度輝ける場所を見つけた」


 偶然ですが、座位バレーのクラブチーム「大阪アタッカーズ」のメンバーが、同じ病院でセラピストとして働いていました。このセラピストから「うちのチームに来ない?」と声をかけられたのは、「またバレーをしたい」と思い始めていたころでした。声をかけられた時、「もう一度選手として輝ける場所を見つけた」と思いました。
 退院すると、すぐに大阪アタッカーズの練習に参加しました。練習は心の底から楽しかったといいます。ただ、座位バレーはネットが低い分、サーブ、アタックのスピードが速く、立位のバレーよりも怖さを感じました。

【日本パラバレーボール協会提供】

◆大体大でスポーツ人生に役立つ学びに出会う


 大阪体育大学に入学した理由は、一つは夢である保健体育の先生になるためです。もう一つは、今後のスポーツ人生に役立つことがたくさん学べると思ったから。例えば、機能解剖学の授業で学んだ人体の構造と機能は、日々のトレーニングに活かしたいと考えています。加えて、「体大は右も左もスポーツをやっている子がいっぱいいるので、いい刺激をもらえる。切磋琢磨ってこのことだなと思える」
 大体大ではアダプテッド・スポーツ部で毎週水曜、車椅子ハンドボールの練習に参加しています。火曜と土曜は主に大阪市長居障がい者スポーツセンターで、大阪アタッカーズの練習に参加しています。
 大学では、パリパラリンピックに出場した現大学院の競泳・宇津木美都さん、ボッチャ・内田峻介さんが2028年ロサンゼルス大会に向けて練習しています。2人は憧れの先輩です。大崎さんは「2人は障害があってもすごく自信に満ちあふれていて、『アスリートッ』という顔をしている」と目を輝かせます。

 来年は7月の世界選手権に加えて、10月には愛知・名古屋アジアパラ競技大会があり、ロサンゼルス大会の出場権がかかります。「中国はアジアで力が抜けているが、イランに勝ってアジアの2枠に入り、数多くの人たちに座位バレーの魅力を訴えたい」と意気込んでいます。

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