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2020.11.27

本学OB・坂口桂穣さんと二人三脚で育ったパラアスリートのラストランをNHKが特集します

 大阪体育大学同窓会代議員・前石川県支部長の坂口桂穣(けいじょう)さん(60)=14期生=と二人三脚で育ったパラアスリートが11月、現役を引退しました。
 知的障害者の陸上世界選手権(2017年)女子400㍍リレーで銀メダルを獲得した川上春菜さん(22)。「知的障害者ランナーのラストラン」と題した特集が、11月29日(日)午後9時50分からのNHK総合「サンデースポーツ」で放送される予定です。

<記事は下に続きます>

坂口桂穣さん

 坂口さんは、今年3月に定年退職し、4月からは、石川県立七尾特別支援学校輪島分校・県立高校などで特別支援教育サポート教員を務めています。
 本学の陸上競技部で中距離を専門とし、卒業後は石川県で長く高校教諭として陸上部の顧問を務めました。インターハイの男子三段跳で優勝者を出したこともあります。
 2015年、七尾特別支援学校珠洲(すず)分校に教頭として赴任し、初めて特別支援教育に携わります。そこで、高等部2年の川上さんと出会いました。

 ある日、体育の授業を見学していた坂口さんの前を川上さんが走り抜けます。「目の前の1㍍を走った瞬間のスピードが他とは違っていました」。才能を見抜きました。
 川上さんは障害が比較的重く、会話は難しい状態でした。坂口さんは毎日のように、走ることを勧めました。「走るか?」「嫌だ」。その繰り返しが2カ月続いたある日。「走るか?」の答えが「嫌」から無言に変わりました。
 坂口さんはすぐに保護者に電話し、「お子さんを走らせます」と告げ、二人三脚のトレーニングが始まりました。
 「彼女は最初から走りたかったのだと思います。でも、川上さんに限らず、障害が重い人は自分の思いを伝えることが難しいのです」。坂口さんはそう振り返ります。

 2人はトレーニングを重ね、川上さんは17年に珠洲分校を卒業して、地元の福祉施設「日本海倶楽部」に所属。その年にタイで開かれた知的障害者の陸上世界選手権で銀メダルに輝きました。
 川上さんは以後、東京パラリンピックを目指しましたが、昨年、東京パラリンピック日本代表の強化指定選手から外れたこともあり、今年限りでの引退を決断。転勤のため18年にいったん指導から離れていた坂口さんも今年から指導に復帰し、11月8日、七尾市で行われた七尾城山記録会がラストランになりました。

 坂口さんは川上さんとのトレーニングを振り返り、「それまで人としゃべらず笑うこともほとんどない子が、陸上と出会ったことで劇的に明るくなっていきました。これからの人生も変わらずに明るく過ごしてほしい」と話しています。
 スポーツの力や教員として人を育てることの魅力を、坂口さんのお話から強く感じました。

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