教職員のさらなる能力開発をめざすFD(ファカルティ・デベロップメント)・SD(スタッフ・デベロップメント)教育セミナーが学生相談室・スポーツカウンセリングルーム主催で10月27日、大阪体育大学中央棟7階大会議室で開催されました。「教職員のための学生支援の基礎と応用:事例をもとにした検討」と題し、講師は前林清和・神戸学院大学教授が務めました。
前林教授は非常勤講師およびカウンセリングルームで大阪体育大学に勤務し、現場で多くの困難に向き合い、対応してきた経験を持っています。前林教授から、学生生活のさまざまなリスクについて解説し、トラブルを未然に防ぐための予防策や緊急支援などの実践ですぐに活かせる対応策についてレクチャーがありました。

講師を務めた前林清和・神戸学院大学教授
初めに「学生の心に寄り添うこと」と「学生の問題を引き受けること」の違いについて説明がありました。最も意識しておくこととして、カウンセリングは専門のカウンセラーが明確な時間・場所・専門知識・守秘義務といったルールの下で行われるもので、教職員はカウンセラーではなく、学生の状況を整理し適切な部署へつなぐ「支援の担い手」の役目を担うことです。続いて学生の悩み事で多い事例が示され、カウンセリングマインドの4つの基本について説明されました。
受容・・・学生が話に来た際、自分の頭の中で先に答えや決めつけを出さず、ニュートラルな状態で最後まで話を聴く。
共感・・・学生の立場に立ち、「大変だったね」「辛かったね」とその感情を理解・共有する。
傾聴・・・心を開いて関心を持ち、丁寧に言葉を受け止める。
判断留保・・・話の良し悪しや善悪をすぐに判断せず、まずは状況を整理することに集中する。
また、初期相談があった場合の対応について、3段階(受け止め、困りごとの整理、次の一手を考案)が説明され、注意するべき声掛けの方法、原因追求ではなく今何に困っているかを整理し、必要な部署への橋渡しを行う流れが説明されました。
さらに面談は長くても15〜20分程度、個人SNSや私的メールでの連絡は禁止、安易な約束・勝手な特例の禁止など、基本的な対応ルールと危機管理方法も示されました。

前林講師に質問する参加者たち
もう一つ知っておくべき事として、境界性パーソナリティ症(BPD)を理解することの重要性が示されました。この症状は見捨てられることへの不安や感情の不安定さが特徴で、相談した相手に強く期待を持ち、その要望に応じられなかった場合、「見捨てられた」と強い失望感を持ちやすいため、初めから自分1人ではなく組織・専門家とともに対応すること、特別扱いはできないことを明確に説明し公平に対応することが重要だと説明されました。
保護者に対しても基本ルールに則り誠実に対応することが基本として、自殺示唆などの発言があった場合は、冗談のように見えても軽視せず即座に専門職や家族へ連絡して安全確保を行うことの重要性が説明されました。
後半は参加者が6つのグループに分かれ、2つの事例「部活動における人間関係と退部相談」「家庭環境・経済的困窮・親に秘密で相談」について議論が交わされそれぞれ発表しました。
終了後は質疑応答の時間が設けられ、参加者からは活発な質問が出されました。前林教授からは、教員と職員で学生と接する場面が異なるため日頃から情報共有し、組織的に学生・教職員・大学の3者を守る支援体制を作っていくことが大切であることが説明され締めくくられました。

グループワークで話した内容を発表する参加者




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