女性アスリートに関する研究(資料数150、論文数54)からみた、
女性アスリートの課題とは?

女性アスリートの心理的な特徴

アスリートがパフィーマンスを発揮するために必要とされる、心理的競技能力(スポーツ競技場面における心理的能力のこと)には性差があることが報告されている。例えば、女性アスリートは男性アスリートに比べ、「協調性」の得点が高いことが報告されている。また、心理指標を用いた調査から、女性アスリートは男性アスリートに比べ、全体的にストレス反応が高いことも報告されている。

女性アスリートの身体的・医学的特徴に関連した心理的問題

女性アスリートが陥りやすいといわれている三主徴(エネルギー不足、無月経、骨粗鬆症)が問題として取り上げられ、女性アスリートの健康問題の解決やコンディショニングに向けた対策の必要性が挙げられている。三主徴をテーマとした研究中で多く報告されているものの、その具体的対処法や解決策についての文献は見当たらない。

女性アスリート育成支援の取組の現状

国際競技力レベル以上の日本人を対象とした女性アスリート支援に関する実態調査によると(国立スポーツ科学センター、2016)、約8割以上の女性アスリートが「心理面に関する課題」を抱えていることが報告されている。スポーツ庁が推進する女性アスリートの育成・支援プロジェクトでは、月経関係とコンディショニング、女性アスリートの外傷・障害予防や教育・普及啓発などの研究および支援の実践が進められており、女性アスリートの抱える課題の解決を通して、国際競技力向上の支援につながる取組が進められつつある。

女性アスリートのキャリアとスポーツ参加

女性アスリートの心理的課題に関連して、キャリア移行やスポーツ参加に関連する課題が挙げられている。キャリア移行期の女性アスリートを対象にした調査研究では、新環境でのストレスとコーピングとの関連を検討しており、女性アスリートが用いる主なコーピング方略は、ソーシャルサポート、気分転換(発散)、ユーモアや笑いを用いることが報告されている。

女性アスリートに対する調査研究からみえてくる、
女性アスリートの課題とは?