現在、体育・スポーツ科学にもとめられているものは、少子・高齢化する社会における国民の健康維持と、スポーツを通して国民の豊かな生活の実現に寄与することであると考えられます。
このような社会的要請と体育・スポーツ科学の高度化・多様化に応え得る広い視野と高度な知識を持った人材の養成を目的に、本大学院は西日本唯一の体育大学大学院として、平成4年に発足しました。平成13年には博士後期課程を開設し、平成16年には記念すべき初のスポーツ科学研究科博士課程が完成しました。
本大学院は、博士課程を前期課程 ( 2年 ) と後期課程 ( 3年 ) に分け、スポーツ科学のさらなる発展と真のスペシャリストの養成をめざしています。設置した9つの学問分野(スポーツ史・哲学、スポーツ社会学、スポーツマネジメント、スポーツ心理学、バイオメカニクス、教授学(指導方法学)、スポーツ生理学、スポーツ医学、スポーツ栄養学)では、指導教員の専門性に応じて「スポーツ文化領域」「競技スポーツ領域」「健康スポーツ領域」「学校体育領域」「レジャー・レクリエーション領域」を対象とした学術的な研究と教育に取り組むことができます。また、長期インターンシップ制度を導入するなど、時代の要請にあった実践的スペシャリストの養成も積極的に取り組んでいます。
さらに、外国人教師の招聘、専門の異なる大学からの講師招聘、公開シンポジウムやセミナーの開催など、学問の発展と社会への還元の両面を見据えた活動を展開しています。これらの活動は、独創性を持った人材養成とともに、修了生や体育・スポーツ関係者の活躍の場の拡大につながります。
このように本大学院への期待が多面的に高まる中で、学生と教職員全員が力を合わせて教育・研究のさらなる充実と発展を図りながら、これまで以上に社会の要請に答え、寄与していきたいと考えています。
スポーツが、社会に対して実際どのような機能を発揮しているか、発揮してきたのかを、社会学や教育学、歴史学などの学問を通じて解明し、近年の体育・スポーツ科学の成果を、スポーツ文化に昇華させる理論を構築することに取り組む領域です。
競技スポーツのパフォーマンスを高めるために必要な技術の解明とトレーニング方法の開発、そして選手との実践的な取り組みやスポーツの環境づくりにかかわる諸々の出来事に取り組む領域です。
スポーツなどの身体活動が人の健康にどのようにかかわるのか、その効果(肉体的・精神的)に関する検証をすすめるとともに、スポーツ活動にともなう傷害予防やリハビリテーションの方策を明らかにしようとする領域です。
学校教育における保健体育の授業実践に関わる問題について、スポーツ科学の成果を用いて指導法・教授法などを明らかにします。そして体育教師の在り方(生徒指導、教科指導、学校経営など)などについて取り組む領域です。
スポーツ・レジャー・レクリエーション・野外教育に関連する現象を研究対象とする領域です。具体的には、これらの活動を「する」または「みる」という行動、関連する組織の経営、行政が展開する政策などです。
■博士後期課程:博士論文指導担当
■博士後期課程:講義担当
■博士前期課程:修士論文指導・講義担当
※ 博士後期課程担当者は全員博士前期課程も担当します
| 研究領域 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| スポーツ文化 | 競技スポーツ | 健康スポーツ | 学校体育 |
レジャー・ レクリエーション |
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学 問 分 野 |
スポーツ史・哲学 | 梅垣・作道 | 作道 | 作道 | 梅垣・作道 | |
| スポーツ社会学 | - | - | 永吉 | - | 永吉 | |
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スポーツ マネジメント |
冨山 |
冨山 藤本 |
冨山 藤本 |
冨山 福田 |
冨山・藤本 福田 |
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| スポーツ心理学 | 手塚 |
荒木・土屋 |
荒木・土屋 菅生・手塚 |
荒木・土屋 |
土屋 |
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| バイオメカニクス | - |
石川・伊藤(章) |
伊藤(章) 淵本 下河内 |
伊藤(章) 淵本 髙本 |
- | |
|
教授学 (指導方法学) |
伊藤(美)・梅垣 作道 |
浅井・伊藤(美) 柏森・神﨑 作道・髙本・中大路 |
作道 |
浅井・伊藤(美) |
福田 | |
| スポーツ生理学 | - |
滝瀬・浜田・増原 鶴池・豊岡・松村 岩岡・梅林 |
滝瀬・浜田・増原 鶴池・豊岡・松村 岩岡・梅林 |
増原 豊岡・松村 岩岡・梅林 |
- | |
| スポーツ医学 |
石川・滝瀬 |
石川・滝瀬 前島・森北 下河内 |
滝瀬 | - | ||
| スポーツ栄養学 | - | 岡村 | 岡村 | 岡村 | - | |
* アダプテッドスポーツは全ての研究領域の研究対象となります
スポーツ科学と幸せ
科学的とは「考え方や行動のしかたが論理的、実証的で系統立っているさま」(大辞泉)をいいます。「確かにそうだ」と誰もが納得できるということです。ですから、社会を幸せにしようとする時に科学的な考え方や方法によれば、うまく行く確率が高いといえます。
健康は幸せの要因の一つです。そして、スポーツは健康に寄与します。今年が設立100周年の日本体育協会もスポーツ科学で世界トップレベルのオーストラリアスポーツ科学研究所も、スポーツ振興による国民の健康増進を目指して設立されました。
スポーツ振興にはイベントのマネジメント、広報、ジャーナリズムが欠かせず、イベントは開催地のインフラ整備など経済活動を活性化します。感動を与えるアスリートの卓越したパフォーマンスには、バイオメカニクスやメンタルトレーニングなどの心理学の研究成果が役立っています。レクリエーションや野外活動、学校体育のあり方、人間がスポーツをする意味の歴史的・哲学的なことがらに関する研究の、スポーツ振興に対する役割が大きいことは言うまでもありません。これらはすべてスポーツ科学の研究対象です。
「ふしぎだと思うこと。これが科学の芽です。よく観察してたしかめ、そして考えること。これが科学の茎です。そうして最後になぞがとける。これが科学の花です」。ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎博士の言葉です。スポーツ科学にはたくさんの芽があり、咲いた花は社会を幸せにするのに貢献するはずです。