2017.02.06

1年生対象キャリアフェスタ:神戸市立摩耶兵庫高等学校 石川一弥先生(本学14期生)に「教師として生きる~教えることの歓び、学ぶことの感動~」と題し、講演いただきました。

4日(土)、1年生対象キャリアフェスタが行われ、神戸市立摩耶兵庫高等学校 石川一弥先生(本学14期生)による「教師として生きる~教えることの歓び、学ぶことの感動~」と題し講演いただきました。 石川先生は本学でサッカー部に所属し、卒業後は兵庫県の高校教師をされていましたが、2002年、病で両目の視力を失われました。その後退職も考えられましたが、国立神戸視力障害センターで1年間訓練に励み、2年半ぶりに教壇に復帰されました。 石川先生は学生の名簿を点字で作成されており、ランダンムに出欠を取った後、「いつもの授業のように始めたいと思います。姿勢を正して。授業を始めます。おはようございます」と挨拶し、講演がスタートしました。

石川先生のお話です。
皆さんから見ると目が開いているので目が不自由だと思われないことが多いので、心無い言葉を受けることもあります。でも、この1年で2つのとても嬉しい出来事がありました。散歩に出た時、中学生の自転車の集団が通り過ぎていきました。端で待っていると、キャプテンだろう生徒が「ソフトボール部の生徒です。中学校に練習に試合に向かいます。集団でご迷惑をおかけしました」と挨拶されました。また、駅で小学生の遠足の集団にあった時、ある女の子が「前に目の不自由な人がいるから大きな音出したらあかんよ。ここからはシーやで。せーのシー」とみんなで声を合わせて「しー」と言われたので、構内中に響き渡りました。でもとても嬉しかった。先生が教科や知識だけではなく、子ども達にいいことを教えているなと思ったからです。はたして自分がそんなことをやってこられたのかなと思いました。見ていたらするかもしれないけれど、見ていないその時に普段教えてもらっていることを実践してくれました。

体に不調があったものの先延ばしにし、病院に行ったときには即入院となり、1年半、入退院と手術を繰り返しました。体中の血管が悪かったので、命にかかわる順に手術を行いましたが、その途中、目の血管が破裂し、失明しました。手術後10日間ほどは暗闇でしたが、一番初めに辛いと感じたのは食事でした。目で見て、次何を食べよう、と思えない味気無さから何を食べてもおいしくは感じられません。家族とも触れ合うことをせず、子ども達が学校に行くときも「行ってきます」の声に寝たふりをしていました。今日一日頑張ったからといって、明日、明後日はどうなるのか。そんなことを考えて過ごしていました。もう教師を続けていられないと考え、二人のお世話になった方々に挨拶に行きました。一人は大体大の坂本先生。もう一人は当時サンフレッチェ広島の総監督をされていた今西和男さんです。私の話を聞いた坂本先生からは「甘えるな。お前はそれでいいかもしれないが、その姿を見ている家族はどうなる。親として、ひとりの大人として責任を持って生きろ」と叱られ、でも「自分にできることがあれば何でも言ってこい」と背中を押されました。また今西さんにも「何もできないわけではないだろう。広島にサッカーの勉強をしに来ていたエネルギーはどこにいった。この経験を活かすときだろう」。そして同じように「自分にできることはなんでも言ってくれ」と励まされました。今思えば復職のきっかけをお二人が作ってくれたのかもしれません。

その後、復職する方法はないかと思い切って校長先生に相談しました。そして復職に必要な点字を学ぶために訓練に励むことになったのです。その時、若い先生から「石川さん。頑張り過ぎなくてもいいです。毎日少しずつ続けましょう」と言われ、その言葉がとても心に響き、生徒たちにもよく言っています。もちろん訓練を開始したからといって復職できる保証はありませんでしたが、途中2回授業をさせてもらうことになり、その様子をビデオにとって審査してもらいました。今思ってもあれほど準備をしてすがすがしい気持ちで授業をしたことはなかったと思います。

そして、何とか合格をもらい教壇に復帰できました。今勤務している高校は昼間部と夜間部の2部あります。学校に行きたくても行けない、そんな子ども達もいます。病気をして失明し、家から出たくない、やりたいと思う気持ちになれない。自分の経験から、そういった子ども達の気持ちが少しずつですが、分かるようになりました。そしてその経験を活かし、日々子ども達と接しています。

私はこの15年間で2つの大きな後悔があります。1つは娘2人の成長していく姿を見られなったことです。親は子供の成長がとても励みになるのですが、反対に励ましてもらっていました。もう1つは自分のための言葉をきちっと受け止められなったことです。腹が立つこともあるし、カッとなることもあるけれど冷静になって受け止められれば、病院にも行って、失明までしなかったかもしれません。でもこうして教師に戻ることができ、感謝していますし本当の人の親切に触れることができました。今では声を聞いて子ども達の元気を確認することができます。

先生になりたいと思っている方も多くいると思います。学校嫌いな子ども達や、気持ちがふさいでいる子ども達に、若いエネルギーを発揮し、学校に来てよかったな、と思ってもらえるようなそんな先生になってほしいです。そして、縁を大切に、さわやかに生きてほしいと願います。